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室町期の建物・今西家書院の庭園、雨のそぼ降る縁側で物思いに耽る私。

南都塗師・山本哲さんの「百碗百杓展」は昨日から後半展示が始まった。
土日は茶室で添え釜をするが、平日は展示室の横隅の小部屋で盆点てをする。
山本さんも有楽流の茶人ながら、接客に追われるので私が応援すると云う構図。
ついでに、山本さんの女弟子に盆を使って茶を点てる手ほどきをした。
その女弟子が撮ってくれたのが上の写真、後頭部が薄くなっているのに絶句。

私は、早めに書院を退散して閉館前の国立博物館・正倉院展に向かった。
平日の雨の所為か、会場は待ち時間もなく入ることが出来た。
今年の正倉院展の展示物は古文書が多く出されており、内容が興味深かった。
労働厚生の思想として、面白く思った二つの古文書を書き留めたので紹介。
一つは、膨大な写経作業に当たった部署からの申請書である「写経司解案」
こういう申請書が出されていること、それに労働行政が対処したこと、面白いと納得。

一切写経司解 申司内穏便事
意訳・この一切の内容は、部外秘に願います。
一、 召経師且停事(中略)
意訳・写経生の募集を停止して欲しいこと(人が多いと賃金配分が減るから)。
一、 欲換浄衣事(中略)
   意訳・(以前に支給された) 浄 衣を新しい 浄衣に替えて欲しいこと
一、 経カン師暇休事(中略)
   意訳・(毎月五日間は)休暇が欲しいこと。
一、 装并校生麁悪事(中略)
   意訳・食事が粗悪であること(黒飯よりましなものにして欲しい)。
一、 請経師等薬分酒事(中略)
   意訳・薬としての酒を(三日に一度は)支給して欲しいこと。
一、 経師等毎日麦給事(中略)
   意訳・毎日麦飯を支給して欲しいこと。

もう一つは、当時の行政の福利厚生策が垣間見える「正倉院古文書正集」である。
一般の人々に臨時的に食料を支給する賑給(しんごう)という政策が行われたとか。
古文書には、その賑給(しんごう)の対象となった者をこう記してある。

高年、(八十歳以上)。
鰥、(かん、妻のない六十歳以上の男性)。
寡、(か、夫のない五十歳以上の女性)。
惸、(けい、十六歳以下で父母のない者)。
独、(どく、六十一歳以上で子供のない者)。
不能自存者、(一人では生活できない者)。

など、私はある種の感動感服をし、当時の日本社会を垣間見る思いを持った。
奈良時代の労働福利厚生の為政は、当時の世界では秀でたものであったろう。
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