2014.04.12 職人芸
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タイの民芸漆器、左が本体、右が箔絵の蓋、本体の上からすっぽりと蓋を被せる形
本体の底裏にはシャム文字で何か書かれているが、私に読解能力が無い
週明け十四日の誕生日茶事で初使いの予定である、中次扱いとしようと思う

この漆器は、前にも書いた私の高校の後輩でもある奈良漆の工芸家(塗師)が呉れたもの
その工芸家は、高校では美術部の部長で大学は哲学科を卒業して、奈良塗の師に弟子入りした
彼自身はクリスチャンで、若い頃から有楽流の茶を嗜んでいて、何となく私と平仄があう
その彼が銘木を所蔵しているので、先の話になるが透き木に使う木片の加工を頼んだ次第
それで、先月末に朴の木と黒柿の二種の透き木を拵えて持って来てくれたのである

タダという訳にもいかんので費用を聞いても、これぐらいのことタダでエエと云う始末
私も仕方なく、些少ながらの一封を無理に渡すと、二・三日してこの漆器を持って現れた
彼曰く、大した金額のものではないが、過日の東南アジア旅行の際に見付けたものだとか
少々痛みがあったが、彼自身が新たに漆加工を施して自分の所蔵品にしていたという

この漆器も素地は、木胎(もくたい・木材)か乾漆(かんしつ・麻布などを固めたもの)
或いは、籃胎(らんたい・ 竹を編んだもの)かどうかであろうが、彼の見立ては籃胎という
本体の台は木だとか、修復作業をしていて手触りや見えた部分から解かったらしい
蓋は箔絵の技法というもので、漆を塗った上に金箔を貼り、竹ベラで削ぎ取る技法らしい

彼は塗師でありながら、旅行先で漆器の民芸品をを買い求める癖がある
その意図というのが、今回のこの漆器への彼の薀蓄で解かったような気がした
彼は手作りの民芸品の中に、本物の職人技を感じさせられる物があると云う
それは、淡々とした繰り返しのリズムの中で、媚(こび)や迷い、ビビりが見えない物

そう云えば、国宝の茶碗十個の中で、作者が分っているのは光悦の「不二山」だけである
他の茶碗は皆んな、職人芸のものである、作者どころか窯も分かっていないものもある
誰かにどう見てもらおうとか、この作品で名を売ろうとか思うと、その心が作品に出るという
この彼の、民芸品の職人芸に圧倒されることもしばしばというのは、真摯な思いであろう

三年ぐらい前に、その彼と日本工芸会の集まりのシンポジウムに参加したしたことがある
その時に彼は、大勢の参加者の中で一論を述べたのだが、私は全く然り同感であった
その話は、また後日
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