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五千円札、樋口一葉である、二十四歳六ヶ月で死去とは紙幣偉人の最年少

一葉は明治五年東京生まれ、戸籍名は樋口奈津、両親は山梨出身
出世作「うもれ木」から次々に名作を発表、後に奇跡の十四か月と云われる
中に、「春日野しか子」という筆名で「経つくえ」という作品があるのは心が和む
代表作と云われる「大つごもり」という短編小説に、私は「物云わぬ情」を感じ取る

和暦でいう月の終いの日は三十日・みそか(晦日)、月籠り(つきごもり・つごもり)
その明くる日が新月、月立ち(つきたち)で転じて「ついたち」、つまり和暦に三十一日はない
その年の最後の晦日(三十日)が「大晦日・おおみそか」、つまり「大つごもり」である、
従って、新暦十二月三十一日を「大晦日・大つごもり」とは、言葉の具合が悪いような・・

小説「大つごもり」は、一葉が自身の貧乏を投影させた十八歳のお峰が主人公
親を亡くしたお峰は伯父のところに居たが、伯父は体を悪くして一家は貧困生活
お峰は山村家の奉公人となってしばらくした後、伯父一家の住む長屋へ帰宅する
そこで病気の伯父から、高利貸しから借りた十円の期限が迫っていると聞かされる
その返済期間延長のための金銭を、お峰は山村家から借りる約束をする

山村家の放蕩息子で先妻の子である石之助と継母のご新造は仲が悪い
石之助が家にいると、ご新造の機嫌が悪くなり、お峰はお金を借りる事ができない
大晦日の日、旦那もご新造も留守でお嬢達は庭、小僧も外、石之助は居間でゴロ寝
お峯は掛け硯の引き出しにある札束から一円札二枚盗んで裏口で待つ従弟に渡す

大晦日の有り金を全て封印する大勘定で、お峰が盗んだことが露見しそうになる
お峰は伯父に罪をかぶせないがために、発覚した場合には自殺をする覚悟でいた
ところが、残った札束ごと石之助が盗み取っていたのであった・・、お終い

まあ、こんな話で、以前は「バレずに済み、良かった良かった」で終わった
ところが最近思うのは、石之助はお峯が抜き取ったのを見ていたのでは、と
そして、お峯を庇う気持ちで自分が悪者になった、私にはそう思われるのである
あの山本周五郎の歴史小説「樅ノ木は残った」の主人公・原田甲斐と重なる
どうも、周五郎はん、一葉はんのフアンだったような気がしている

思いの程を自分の胸だけに納め、周囲の誤解や非難中傷を一身に受ける
眉間の皺(しわ)の渋味というか、男の「物云わぬ情」というものを感じる
先日の鳥取・米子までのトンボ返りのバスの中、私は「物云いたい情」が募った
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