2016.02.25 竹柏のしづく
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梛(なぎ)、南木・那木・竹柏とも表記する、ナギという樹木のことで「神木」とされている

ナギがなぎ(和ぎ)に通じることから、神籬(儀式の依り代としての枝葉の意)として使われる
神籬(ひもろぎ)の語源は、「ひ」は神霊、「もろ」は天下るの「あもる」、「ぎ」は木
よって、ナギは神霊が天下る木、神の依り代となる木の意味となると云われている
「いざなぎのみこと」のナギ、「草薙剣・くさなぎのつるぎ」のナギに通ずるとか云々
樹木としてのナギは、日本列島西南部から台湾が原産地で、奈良・春日山が再北限自生地
広葉樹の様だが針葉樹で葉には縦筋が通り、ちぎり難いことから男女の契りのお守りとなる

長話になったが、ことの本旨は「竹柏のしずく」という本の因縁話である
先日拝聴した茶道史研究家の神津氏の講演「松屋日記について」の後日譚である
奈良茶人・松屋三代が居住した奈良きたまち界隈の説明に多くの時間が割かれた
その界隈には私の中学校があり知人も多く、いわば遊び場だったので興味深く聞いた
デジュメの中に「竹柏(なぎ)のしづく」から史料記載という頁があったのが目が止まった

「竹柏のしづく」という本の題名に記憶があった、十一年前の愛犬「ハナ」が一歳の頃
中世日本文化の学者の方が我が家の裏隣の住まわれておられ、お借りした本であった
奈良茶人として高名を馳せた故河瀬無窮亭虎三郎の蒐集資料を本にしたものである
故人の「偲ぶ草」として奥方が出された遺稿ともいうべき本で、百冊か二百冊の発行数
編集者は茶道学の最高峰で、奈良の茶の存在意義を紐解いた篤学の士・故永島福太郎
隣家の方は永島先生の助手として、この本の編集を手伝っていたとの由
そして、隣家の方から竹柏を「ちくはく」と読む方が素直だと云われた、理由も聞かされた

竹は「竹簡」の意で柏は「包み」とか、御亭主の思いを綴り包み残し置くもの、遺稿である
成る程とは思うが、実際にはそのどこにも「竹柏」へのフリ仮名は見当たらない
私は神津氏のデジュメに「なぎ」とフリ仮名がされていたので、「なぎ」を調べてみた
春日原林が「なぎ」の自生地最北端であり、河瀬は長闇堂・久保権太夫に心を置いていた
長闇堂は春日の神官で奈良茶人の一人である
それ故に、私は「竹柏・なぎ」という名にしたのかと、それなりに納得はしたが・・
さてさて、「竹柏」を何と読めば良いのか、少々考え込む

話は、写真の本「竹柏のしづく」の表紙、右下が欠けているというか、疵痕が残る
実は、まだ子供であったハナが座卓に置いていたこの本をかじったのである、
この頃のハナは、靴も草履も机の脚も散々にかじりまくっていた
この本をお借りし座卓で読んでいて、そのままに置いていたらハナが・・、後の祭り
私は直謝りでお返しに行ったため、本の中味の記憶が薄いままであった

今回、その本は市販されていない希少な本と知り、ハナと共に謝罪に行った次第
その次の日に、その方から「竹柏のしづく」が郵便受けに届けられていた
早速に電話を入れると、その方曰く「持つべき方のところへ返しただけの話」、と
ひと唸りしつつ、謝意を述べ預からせてもらうことになったが、形としては無心になった
改めて、本稿に目を通すとポツポツと知人の名も出ており、嬉しくなった
朝茶事に知人の古美術商が招かれ、菓子は私の茶友の和菓子屋のもの
やはり、「竹柏」は「ちくはく」と読む方が素直な気がするのであった

本の右下にハナのかじり痕が残る「竹柏のしずく」
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