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上が兵隊蟻、中が女王蟻、下が働き蟻、全て雌である
雄蟻は羽蟻で、羽を付け飛び立ち空中で他の女王蜂と交尾し、それで死に絶える

表題の本を知人の開業医から教えられ読んでみた、面白い内容であった
著者は北海道大学の長谷川英祐という遺伝子研究家の進化生物学者である
二十万部のベストセラーになったと聞くので、結構知られた本であったようだ
以前、「真社会性」のハダカデバネズミをブログ記事にしたことがあった
真社会性の典型的な動物とは蟻と蜂である、その特徴は
(1)複数の個体が共同して育児を行なう
(2)二世代以上の個体が共存、娘がコロニー維持のため母親の仕事を手伝う
(3)繁殖(=産卵)にかかる個体間の分業とカーストが存在する

とかで、真社会性はそれはそれで興味ある話であるが、今回の本の話は「働き蟻」
子を産む女王蟻、未受精卵から生まれた雄蟻、受精卵から生まれた働き蟻と兵隊蟻は姉妹
雄蟻は、他のコロニーの女王蟻候補を求めて飛び去り空中で交尾し、すぐに死ぬ儚い存在
私は兵隊蟻を雄と思い込んでいたが実は雌、働き蟻とは姉妹関係だったとは驚き
兵隊蟻はコストを掛けて育成され、大きな餌を運んだり噛み切ったりする役目を担う
争い事が起こると真っ先に避難する、死しなせてはコストが勿体ないということだとか

本の序説は、働き蟻の中の七割が「働いていない蟻」であるということから始まっている
働かない蟻も状況により働くので「休んでいる蟻」といえるが、全く働かない蟻が一割とか
地上で餌探している蟻は働いている蟻であるが、その何十倍の蟻が地下に居るそうな
地下のコロニーでは、七割ぐらいの蟻が何もせずにいることが観察結果で明らかになっている
コロニー内は、女王蟻の世話、卵や幼虫の世話、餌の貯蔵、穴掘り、ゴミの除去と御用雑多
では、働く働かないの行動基準は何に由るのかというと、働く気にさせる刺激が有るらしい
聞き慣れない言葉だが、働く気になる刺激の最小値を「閾値・いきち」というとか

個体によって閾値の程度が違うので、状況により働き出す時間差があるということになる
それを、著者は「腰が軽い・重い」と表現しているのが面白い、人間も同様であろう
皆が同じ腰の軽さなら皆一緒にクタビレてしまうが、その状況で腰の重いのが立ち上がる
まま、これでコロニーが上手く回ることになるということを、人間社会の組織に当てはめている
つまり、無駄の用とか異質の有用性を知る組織は強く、均一資質の組織はモロイと説く

もう一つ、個体の選別をしても「同じ構成」で働き者と怠け者が出るという話である
「世の中全て3・4・3」とかいう本が出されたことがあったが、同じことが書かれていた
働き者ばかり集めても、その中で再び働き者と怠け者が同じ比率で現れるということ
そしてもう一つ、身につまされる話があった、「齢間分業・れいかんぶんぎょう」である
蟻社会の仕事は、若いうちは幼虫の世話、次に巣の維持、最後は外に出て餌探しになる
安全な巣の中の仕事から、危険な巣の外での仕事へ年齢と共に労働内容が変化すること
先の短い老人を危険な仕事へとは、進化の大原則で集団を作って生きる社会性生物の真骨頂
まさに、「姥捨て山」と同じ話

これからの季節、蟻が巣から出て来て餌探しにそこかしこを歩き回るであろう
それを足で踏みつけたり、殺虫剤を振り掛けたりするのは如何なものか
彼等は先の短い老蟻たちである、余命を卵や子供の餌探しに捧げて働いているだけである
私と女房殿は、部屋の中を歩き回る蟻さんには何もしないで放置
可愛い掃除屋さんと心得、お礼に菓子くずの一つでもやるようにしている
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